昨年末のコラムで(子供の)便秘について取りあげたところ、治療法や改善方法について何件か問い合わせがありましたので、今月は便秘についてもう少し詳しく書いてみようと思います。
便秘の定義は様々ですが、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とされています。また、日本消化器病学会の慢性便秘症診療ガイドラインでは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。人によって排便のリズムは違うので、定義づけは少々難しいところだと思いますが、私の個人的見解としては、2〜3日以上排便がない状態は便秘だと思って対策を講じるべきだと思っています。
一言に便秘と言っても実は種類があって“二次性便秘”と”機能性便秘”の大きく二つに分けられます。まず、二次性便秘とは、明らかな原因が特定できる便秘で、主に以下の3つです。
①器質性便秘:腸の通り道が狭くなることで起こる便秘(大腸癌、クローン病、虚血性大腸炎など)。
②症候性便秘:他の病気によって腸の動きが鈍る便秘(糖尿病、甲状腺機能低下、パーキンソン病、脳卒中など)。
③薬剤性便秘:服用している薬の影響で腸の動きが鈍る便秘。
次に、機能性便秘とは明らかな病気がないにもかかわらず起こる便秘で、こちらも大まかに3つに分けられます。
❶腸の動きが鈍くなる便秘:加齢や運動不足、水分・食物繊維の摂取不足、過度なダイエットが原因。
❷腸が上手く動かない便秘:ストレスや過敏性腸症候群が関与。
❸排便が困難な便秘:直腸の反射や収縮力の低下、硬い便による排便困難が原因。
当院に便秘症状で来られる患者さんの大半や、一般的に便秘症状で悩まれている方の多くが機能性便秘だと思います。いわゆる私たちが思う「便秘」ですよね。ただ、気をつけていただきたいのが、明らかな病気ではないこの機能性便秘も慢性化すると虚血性大腸炎や大腸癌などの大きな病気の発症原因になってしまいます。今や便秘は日本人の約14%の人が抱えている悩みであり、特に女性や高齢者に多いとされていますが、体内の水分不足や自律神経の不調、体質など誰でも便秘になる可能性はあります。
そして、現在すでに便秘に悩まされている多くの人は、日々の食生活に気をつけて、エクササイズをするなど便秘解消のために頑張っていると思います。しかし、なかなか改善されない。だからと言って薬で排便するのには抵抗がある、そんなお悩みを患者さんからもよく聞きます。そこで、試していただきたいのが当院のカイロプラクティック治療とエンザイムセラピーです。カイロプラクティック治療では、背骨を矯正し、副交感神経を活性化させて腸の蠕動運動を促進します。実は、ひどい便秘症の方は、レントゲンを撮ると骨盤が片方に歪んでいて腸を圧迫している姿勢の人が多いです。 なので、一見、便秘には関係なさそうですが、背骨、骨盤の位置を正し整えることは大切なことなのです。
また、エンザイムセラピーでは、患者さんの体質にあった消化エンザイムのサプリメンを摂取し、消化・吸収・排出のサイクルを改善させます。ご自身の体質にあったサプリメントというのは、ご自身が苦手な消化機能を補うサプリメントです。消化が苦手な栄養素というのは個人の体質で違います。しかし、苦手だからといって放置しておけば、摂取した食べ物は消化が不十分なまま小腸や大腸を通って便となります。消化不良の便というのは健康な便ではなく、それこそ便秘(や下痢)を引き起こす要因になってしまいます。
便秘にはさまざまな原因があり、特に子供の場合は適切な対策をすれば短期間で改善することが多いです。(改善症例複数あり)しかし、大人の場合は長期間の便秘で腸の機能が低下しているため、改善に時間がかかることもあります。それでも適切なアプローチを続けることで、便秘は必ず改善可能です。お悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。