【ANIS 7月号 症例紹介】

今回は久々の症例紹介です。患者さんは50代の日本人女性。ちょっと特殊なお仕事の方で職業病と思われる症状での来院でした。

治療前の症状は①利き手の右腕に力が入りづらく常にしびれるような違和感がある。特にこの1ヶ月で酷くなってきた。②4〜5年前から始まった慢性腰痛。③10年ほど前からの慢性疲労や倦怠感。④同じく10年ほど前から眠りが浅く熟睡感がないため、朝の起床時にスッキリ起きられない。⑤産後(十数年前)からずっと体の歪みが気になっていた。

直接の治療のきっかけになったのは①の右腕の違和感、しびれです。問診及び検査の結果、私が特に気になったのは握力の左右差でした。一般的に人間の握力というのは利き手の方が強いものですが、彼女は右25kg、左26kgとわずかですが非利き手の左の方が強かったのです。また、腕が常に痺れている、違和感を感じるというのも気になりました。

この方はヘアースタイリスト歴20年以上の大ベテラン。最初は右手の症状は酷使しすぎた故の職業病だと思いました。その他にも、ご本人が気になさっていた体の歪みや慢性腰痛、また、産後から続く長年の慢性疲労や不眠の症状を1つ1つ分析しました。まず、右手のしびれや違和感は長年の酷使によるものだけではなく、立ち仕事ゆえに自分が楽に立っていられる姿勢、つまり立ち姿勢に悪癖がついてしまったことも原因の1つでした。実は、彼女の体重は体の右側に5kgも寄っていました。下半身も右に15mmずれていて、骨盤も右に10mm下がっていました。要するに全体的に大きく右に歪んでいたのです。その状態で右手を使い続けたことで、首の神経を圧迫してしまい右手の違和感やしびれを感じるようになったのです。慢性腰痛は、身体の歪みで骨盤が反ってしまう、いわゆる反り腰が原因でした。また、ご本人の申告にはありませんでしたが、足のむくみが慢性化していました。長時間立っていることで血流の循環が悪くなっていたのです。慢性疲労の原因は多々ありましたが、その中でも水分不足が大きな原因でした。大人気のヘアーサロンなので、多忙で飲食やトイレもままならないことも珍しくなく、それが蓄積されてむくみや水分不足を引き起こしたとしても不思議ではありません。

そんな状態から行った治療は①週1回のカイロプラクティック施術(アジャスト)で身体の歪みを正す。②隔週のストレッチリリースエクササイズ(SR)で四肢の可動域の回復、筋肉の柔軟性、血流の改善。②隔週のスポーツトレーニング&セラピー(ST)での筋膜リリース、トレーニング指導。④水分補給の方法や日常生活での意識改善指導を行いました。3ヶ月間の集中治療です。結果は、まず一番気になっていた右手のしびれや違和感がなくなり、握力も右27kg、左26kgに改善されました。身体の歪みも整い、体重は右2kg、下半身のずれは右に5mm、骨盤は右に1mmまで戻ったことで、反り腰もなくなり慢性腰痛も改善されました。むくみと不眠もアジャストとSRで自律神経が整えられ血流が改善されたため、夜はぐっすり眠り、朝はスッキリ起きられるようになりました。慢性疲労も定期的な水分補給や運動指導で軽くなったそうです。

 初診の多くの方が、症状がひどくなり辛くなってから来院されます。そして、主症状の他にもたくさんの問題を抱えています。当院では、それらの症状を全て問診・検査し、原因を突き止め説明し、患者さんにご理解いただいた上で一緒に症状の改善に取り組んでいきます。治療はドクターと患者の2人3脚で初めて成功します。今身体に悩みを抱えている皆さん、まずは、チームAYCで一緒に頑張ってみませんか。

矢島 敬朗     カイロプラクター

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